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アルシュは、ソロルが模写した街の地図に、爪先で印をつけた。
朝から独りで領区内の武器商を一軒一軒回っている。
「蛇使いの男」の「蛇」が武器の一種という仮定に基づいての聞き込みだが、結局何もつかめていない。
日はとうに落ち、だんだんに夕闇が濃くなってきている。
道行く人も減る一方だ。
捜査をあせる気持ちとうらはらに、腹の虫はさっきから元気に鳴いている。
あと一軒だけ回って今日のところは終わろう、と決め、歩を進める。
大通りに面した一角で、一つの扉が開かれた。
部屋の明かりが筋になって道路に伸びる。
中から店員らしき男が出てくると、前掛けのポケットをごそごそやってマッチを取り出し、店の玄関前にぶら下がる角灯に火を入れていく。
アルシュは足を止め、その様子を見ていた。
先ほどまで扉が閉められて人が出入りする様子もなく、気にも留めていなかった。
開いた扉の隙間から、店内に武具が並んでいるのがちらりと見えた。
(ここは武器商なのか?
日が沈んだ今頃から店を開けたというのか?)
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