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あわてて地図に目を落とすが、そこには記載されていない。
(地図に無い店‥‥。)
周囲の商店の華美な外装の中で、隠れ家のようにひっそりとした佇まい。
看板も煤けて読みとれず、一見すると店とは思えない。
この街にはあまり似つかわしくない風情だと思う。
「武器を見たいんだが。」
先ほどの店員に一声かけて、アルシュは店内をのぞきこむ。
まだ若い店員は、とまどった表情をうかべた。
「え? あ、あの、お客様はどういう‥‥。
どこかのお屋敷の用心棒かなにか‥‥?」
そんなことを言われたのは、この店が初めてだった。
大概の店では、年恰好から武芸を学ぶ学生扱いだったからだ。
「俺か。俺は‥‥保安予備隊の‥‥。」
言いかけてから、保安予備隊の腕章をしてこなかったことを思い出した。
あたり一帯の武器商では、すでに保安部隊の聞き込みは済んでいる。
相手に不信感や警戒心を抱かせないよう、あくまで私人として聞き込むつもりで、自分で外してきたのだった。
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