第6章 秘密を守る領民

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アルシュは平静を装い、話を続ける。 「そうか。よそでは話にならなかった。 例の強盗に対抗するならこの店だったら、何を薦める?」 「よそじゃね。護身用の短剣だの、刺股(さすまた)だの売りつけられるのがオチですよ。」 店員が饒舌になってアルシュを帳場へ案内する。 「まあ、間違いじゃないですよ。 素人さんは怪我しないのが一番ですから。」 入り口の狭さに反して、店内は意外な広さがあり、数人の客が商談中のようだった。 店の内部も「隠れ家」という名がふさわしいようにアルシュには思えた。 薄暗く冷え冷えとする石張りの床の一角に、色の褪せた毛のじゅうたんが敷かれている。 その上に置かれた対面のソファに、四、五人の男たちが腰掛けて何か話しこんでいる。 傍では店員と同じ前掛けをした禿頭の男が、立ったまま愛想よく話を受けている。 あれがこの店の店主らしい。 帳場の前に立つアルシュに、若い店員が話しかける。 「あれでしょ。『蛇使いの男』、あいつとやりあえるものがご希望で?」
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