77人が本棚に入れています
本棚に追加
シャルマン領区には保安部隊の詰め所がいくつか設置されている。
その司令部となるのが保安部隊本部。
外見は切妻屋根の石造りの建物だ。
装飾等の無い、灰色で平面的なファサードは見る者にしかめつらしい印象を与える。
三人の歩く床は、切石のモザイク張りになっており、華美ではないものの上品で精緻な佇まいとなっている。
一階入り口を入ると、広間のような隊員の詰め所。
常に武器を携帯した隊員が待機し、いつでも出動できるようになっている。
その奥に届出などを受ける窓口がいくつか設けられ、廊下を進んだ先は会議室。
その奥が資料保管庫。
二階は主に幹部の執務室が連なり、二人には見せてもらえなかったが、地下には罪人の留置場があるのだという。
ひととおり内部をめぐると、ガリュー氏は通常の任務に戻り、二人は、資料保管庫に戻って強盗事件の資料を見せてもらった。
紙や綴じ本はこの国ではまだ高価な品物だが、ふんだんに使って資料が保管されている様子に圧倒される。
資料棚にかこまれた狭い部屋で、二人は仕事にかかった。
ソロルは、王都で拝領してきた紙に木炭を使い、この街の地図や、被害の出ている宝飾品の特徴などを仔細に写し取っている。
そういうことは器用なのだ。
その間、アルシュは強盗事件の詳細について記録を読みこんだ。
最初のコメントを投稿しよう!