第3章 シャルマン領区の守護天使

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ちょうど打ち合わせが一段落したようで、身支度が始まる。 くだんの少年の左手には携帯用の小型弓。 すでに、右足の太ももに二本の皮バンドで矢筒を装着している。 右手に弓懸(ゆがけ)を被せ、慣れた手つきで皮紐を締めていく。 王都でもあまり見ない鹿革の上級品だ。 右手首の内側に口を添わせてきゅっと締める。 その動きすらも流麗だ。 陽光に頬のうぶ毛を光らせる横顔は、神話の登場人物を思わせた。 「まさに、この街の守護天使だね。」 ソロルが感嘆する。 「まぁ、雰囲気は申し分ないけどな。」 アルシュがぼそぼそと同意する。 廊下に立ちつくしていた二人に、ふいに視線が投げかけられる。 「そちらは‥‥王都からの?」 つかつかとルシエル・クールラントが近づいてくる。 「ご存知でしたか。さすが情報が早いですな。」 隊員の一人がアルシュとソロルを紹介する。 「そうですか。 僕と変わらないくらいの年頃にお見受けしますが、入隊試験合格とは、すごいですね。」 淡々と賛辞を述べる。
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