第3章 シャルマン領区の守護天使

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年齢よりもずっと大人びて冷静な物腰。 近くで見ると、整った顔をしているのがよくわかる。 長い睫に半眼をふさがれた琥珀色の瞳は、穏やかな表情をつくりながらも、強烈な自尊心を主張している。 (こいつは油断ならない。) アルシュは直感的に何かを感じ取った。 戦場で身に着けた勘のようなものかもしれなかった。 「強盗事件についても、力をお貸しいただけると嬉しいです。 早くこの街に平和を取り戻さなくてはいけませんから。」 一礼すると、踵を返して詰め所から出て行く。 いつの間にか保安部隊本部の前には自警団に参加する少年たちが集まり、団長のお出ましを待ちわびていた。 ルシエルが歩み寄ると、わっと熱気を帯びた少年たちの輪が取り囲んだ。
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