第3章 シャルマン領区の守護天使

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ルシエルは作業を続ける。 そのうちに、目当てのものを発見した様子でかがみこむ。 床板の一枚をめくり上げると、それはまるで蝶番(ちょうつがい)がついているように滑らかに開いた。 ルシエルは、開いた床穴に足をおろす。 その体が徐々に床下へ沈みこんでいく。 驚いてディコンが近寄ると、床板の下の地面には大きな穴が開いていた。 大人が少し身をかがめて入れるくらいの穴。 足元に枕木がうめこんであり、階段状に降りられるようになっていた。 「来いよ。」 「ここなんなんすか?」 ディコンがおそるおそる降りていくと、一番下の部分は、大人一人が身体を伸ばして眠れるくらいの広さがあった。 「もとは倉庫みたいなもんだろうな。 馬丁の爺さんが、人が入れるようにしてくれたんだよ。 空気孔もついてるから、蝋燭(ろうそく)灯しても大丈夫。 親も、屋敷の使用人も知らない場所だ。 昼間はここに隠れてろよ。」 言いながら、ルシエルは床上に戻って荷物を取ってくる。 一度自宅である屋敷に戻り、取ってきた荷物だった。
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