77人が本棚に入れています
本棚に追加
ルシエルは作業を続ける。
そのうちに、目当てのものを発見した様子でかがみこむ。
床板の一枚をめくり上げると、それはまるで蝶番(ちょうつがい)がついているように滑らかに開いた。
ルシエルは、開いた床穴に足をおろす。
その体が徐々に床下へ沈みこんでいく。
驚いてディコンが近寄ると、床板の下の地面には大きな穴が開いていた。
大人が少し身をかがめて入れるくらいの穴。
足元に枕木がうめこんであり、階段状に降りられるようになっていた。
「来いよ。」
「ここなんなんすか?」
ディコンがおそるおそる降りていくと、一番下の部分は、大人一人が身体を伸ばして眠れるくらいの広さがあった。
「もとは倉庫みたいなもんだろうな。
馬丁の爺さんが、人が入れるようにしてくれたんだよ。
空気孔もついてるから、蝋燭(ろうそく)灯しても大丈夫。
親も、屋敷の使用人も知らない場所だ。
昼間はここに隠れてろよ。」
言いながら、ルシエルは床上に戻って荷物を取ってくる。
一度自宅である屋敷に戻り、取ってきた荷物だった。
最初のコメントを投稿しよう!