第3章 シャルマン領区の守護天使

17/17
前へ
/335ページ
次へ
「いいか、ここに毛布あるから。 それから、俺の小さくなった服持ってきた。 あとで身体拭いて着替えろよ。お前、臭うぞ。 食事は、まあ、今後もなんとかしてやるよ。 あと、井戸には勝手に行くなよ。飲み水は俺が適当に汲んできてやるから。 それから、とくに家庭教師のエレノアに気をつけろよ。 黒髪の気取った女だ。あいつはいつも変に鼻がきくから。 昼間は絶対出歩くなよ。いいな。」 返事は無い。 「おい、聞いてんのか?」 のぞきこむと、ディコンはすでに食べ終え、壁にもたれかかって眠っていた。 見かけより相当、衰弱していたのだろう。 死んだように眠っている。 ルシエルはその身体を毛布で包み、横たえてやった。 そして自分の甘さに苛立つように、一度舌打ちをした。
/335ページ

最初のコメントを投稿しよう!

77人が本棚に入れています
本棚に追加