第4章 いびつな双子

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丸一日眠り続けたディコンは、翌日の夕方目覚めた。 ディコンの寝覚めは絶叫からだった。 叫び声をあげて飛び起き、嘔吐の後のような荒い呼吸を必死で整える。 しばらくして少し落ち着くと、腕で額の汗をぬぐう。 両手を顔の前に広げ何か確認すると、ほうっと安堵の息を吐く。 「お前、次大声出したら、本気で殴るからな。」 冷ややかな声がして、近くにルシエルのいる気配がある。 燭台はすでに灯されている。 「す、すみません。捕まった夢みたんで。」 「ふうん。で、その手は何だよ?」 「ああ、俺、『お仕置き』の時はよく手をやられたんですよ。 俺の場合、体に傷作るとやっかいじゃないですか、だから。 両手を握りこぶしにして床に置いて踏み潰されるとか。」 ルシエルは眉根を寄せる。 「あと、こう、お祈りみたいに組み合わせた指に、互い違いに細い針金引っ掛けて、力まかせにぎゅうっと引っ張るとか。 ‥‥痛いっすよ。 関節反対に引っ張られるし、針金食い込むし。 あとで手全体が腫れあがって、二日三日は、便所で用足すのもままならないくらいっすよ。」
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