第4章 いびつな双子

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ディコンは黒いフード付きの外套をはねのけ、腰に結び付けていた頭陀袋を、胸を張って差し出す。 「俺はあんたの役に立てて嬉しいんですよ。」 ルシエルは袋を受け取り、ディコンの服を脱がす。 所々に血が染みている。 「傷は大丈夫なのか?」 ディコンの両腕と背中には刃物で切ったような傷が数本ついて血をにじませていた。 「大丈夫ですって。普通の人とは違うんですから。血もすぐ止まるし。 俺、これ、毎日、多いときは昼夜二部制でやらされてたんですよ。 それに比べたらこのくらいどうってことないです。 それに、俺を見て恐がる人の姿を見て、初めて楽しいって思いました。 ざまあみろって。」 ひひひ、と下卑た笑いをもらす。 ルシエルは着替えをわたしてやり、受け取った袋から貨幣と宝石をちりばめた装飾品を取り出した。 「金は今使うと足がつく。 あとで必ず分け前やるから、しばらく我慢しろよ。 宝石のほうも同じ。売ればすぐ足がつく。 これは別の使い道があるから、保管しとくぞ。」
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