第4章 いびつな双子

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「だいたい、俺のすることなんて、最終的にロクなことになんないんすよ。 だからまぁ、せいぜいあんたの役に立ちますよ。 あんた、俺より頭良さそうだし。」 「この星空の下に居場所無しか‥‥みじめだな。」 そして、同じように自嘲する。 「お前、俺に似てるかもな。」 ディコンは不思議そうな顔をしてルシエルを見る。 「あんた、俺とは違うじゃないすか。」 そして、意を決したようにルシエルに向きなおる。 「あんたのほうが問題でしょ。 あんたいいんですか? こんなことして。」 ルシエルは黙る。 「金持ちなんですよね。いいとこの跡取り息子なんですよね。 どうしてこんなこと‥‥。 下手なことしなけりゃ、立派な人生が約束されてんのに。」 黙って聞いていたルシエルの顔にさっと赤みがさす。 怒りに目が細められる。 「お前、俺に説教するのか。 俺にいい子にしてろって言うのか。 もうたくさんなんだよ!」 声量を抑えたままうめくように言ったかと思うと、獰猛に襟首をつかみ、ディコンにのしかかる。
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