第4章 いびつな双子

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また「自警団の活動」は、ルシエルが夜間屋敷を抜け出したり、差し入れと称して食べ物を持ち出す口実にも便利だった。 ふくれっつらのまま、ディコンはそそくさと着替える。 白地にブルーのピンストライプのシャツに黒の膝下丈のズボン。 ディコンはルシエルの古着の中で、特に飾り気のないそれらを気に入って着るようになった。 サイズもそこそこあっているらしい。 さすがに痩せているのでズボンの腰は余る。 馬屋に散らばっていた藁縄を拾ってベルト代わりに結んでいる。 「使い捨て、ね。 そうできたら俺も苦労しないんだけどね。」 苦笑で誤魔化そうとするルシエルの声に潜む、重い苦渋の響き。 拗ねていたはずのディコンは思わずルシエルの顔を見る。 「ああ、これ。よくわかったな。 これが今回の本当の目的だったんだ。」 ルシエルが感心しながら、袋からあるものを取り上げる。 羊皮を、手帳くらいの大きさに切りそろえたものに細々と文字が書き連ねてある。 いくつか、紋章のような焼印も押されている。 それが束になって入っていた。
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