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裁判の証拠品を個人が持ち帰ることは規律に反することだが、なにか証拠に手心でも加えようとしていたんだろう。
そこを俺たちが狙ったってわけさ。
大金と、偽造旅券。
両方手に入るわけだし、先方は表向きには家財程度しか、被害を訴えられないだろう。
この旅券のことは伏せられるはずだ。背任罪に問われるからな。
俺だって、伊達に保安部隊本部に出入りはしてないんだよ。」
ディコンはわけがわからず、あんぐりと口を開けたままだ。
「‥‥この街はさ、こんな奴らばっかりなんだよ。
こういう奴らが、都合の悪いことを隠して商売しやすいように表・裏の二重構造の街を作ったんだ。
一度、『表ざたにしない裏の事件』とされたら、正規の保安部隊の隊員にはなにも知らされないし、そもそも事件として取り扱われない。
社会的地位の高い立派な人が好んで住む美しい街の、これが正体なんだよ。」
三度目の強盗事件が起こる。
「あの子、大丈夫でしたかね。気絶した子。」
すっかり慣れてきて、そんなことを気遣う余裕のあるディコン。
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