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先生は、ただ黙って、ナツの頭を撫で続けていた。
その目には光るものがあって。
こぼれ落ちないように、天を仰いだ。
まるで彼女の恋の行く末を写し取ったかのように、太陽は雲に隠れ、鈍色の空が広がっていた。
*******
「総司!ナツの疑いが晴れたぞ!門の近くで待ってるから、行ってやれっ!」
嬉しそうに、部屋まで教えに来てくれた永倉さん。
「良かった・・・。近藤さんが、私の頼みを聞いてくれたんですねっ!」
「近藤さん?おい総司、何か勘違いしてねぇか?あいつを牢から出したのは・・・」
永倉のその声は、部屋を飛び出していった沖田の耳には届かなかった。
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