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そして、どちらからともなく差し出される小指。
「指きり、ですね。」
「約束、忘れないで下さい。」
「沖田さんも。」
いつまでたっても、切れないまま、つながれた小指。
そこへ、近藤、土方との話し合いが終わった先生がやってくる。
互いに目を合わせて、無言で小指を離す。
そして、ナツは沖田に笑いかけると、先生の下へ駆けて行った。
さよならの言葉も、またという言葉も残すことなく。
後ろを振り返ることもなく、黙々と歩き続けるナツ。
勢い良く運ぶ足の歩みが、だんだんと遅くなり、ついには止まる。
「先生、せんせっ!私もう、沖田さんに会っちゃだめなんだって・・・。
うわぁぁぁんっ!」
ずるずると膝が落ち、ナツは先生の足にすがり付いて泣き崩れた。
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