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「総司さん、弱っていくあなたの姿をこれ以上見ていることができません。
いっそひと思いに、殺して差し上げます。
だからひとこと、お願いします、と言ってください。」
沖田の枕元で、女がささやく。
沖田は、布団から半身を起こし、両の手のひらを広げて見つめる。
「私は、まだ死ねないんです。」
そういうと、目を閉じる。
「この病はたくさんの命を奪ってきた私への報い。そして、最後まで諦めないという約束をしたんですよ。」
彼女に教えてもらったのは、遠い昔のような気がする。
そして彼女と交わしたのは、諦めずに戦い続けるという約束。
もうすぐ、会えるでしょうか。
あの人に。
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