182人が本棚に入れています
本棚に追加
「報い?」
女が問う。
「ええ。ある人が、私に教えてくれたんです。」
『不思議なことに、命の帳尻って、ちゃあんと合うことになっているんですよ。
・・・・いつか報いは来るんです。』
彼女の言葉が蘇る。
「人の命を奪う、それは、とても重いものなんですよ?あなたに、私の命が背負えますか?」
静かに、総司は女に問いかける。
私はもう、どれくらいの人を殺してきたのでしょうか?
・・・・・最初に、この手を血で汚したときのことは、今でも鮮明に覚えているのですがね。
キュルキュルと、時計の針が逆回転するように、思考が過去に戻ってゆく。
「私の屍を乗り越えて行くが良い!」
どうやったら、返り血を浴びないですむか。
どうやったら、相手を苦しませずにすむか。
そんなことを考える余裕なんて、全くなかった。
ただ、目の前の相手を殺さなければならない。
それだけに必死。
激しい雨の音が響く。
最初のコメントを投稿しよう!