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次に私が目を覚ましたとき、全ては終わっていました。
夜が明けてから、私たちは池田屋を後にします。
土方さんが横に並び、私はなんとか自分の足で屯所まで戻ることができました。
池田屋に突入した面々は、みんな血だらけの羽織を羽織っていました。
額を負傷した平助くんが、戸板に乗せられて運ばれていきます。
「お前も、休め。」
土方さんは、一息入れる間もなく、後片付けに奔走します。
「あの男は、どうしたのだろう?」
名前くらい、聞いておけばよかった。
そう思いながらも、私の身体は休息を求め、いつの間にか眠ってしまいました。
・・・・・・・
事件の後始末に追われる新撰組に届いた、身元不明の惨殺死体の知らせ。
土方がその知らせを受け取ったのは、事件が起きてから二日後のこと。
残党かもしれない、と逸る心を抑えて、報告を受け取る。
が、死体は女性だという。
「はずれ、か。」
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