1. 終わりの始まり

4/9
前へ
/283ページ
次へ
剣の型なんて、そんなものは役に立たない。 やたらめったら刀を振り回し、めちゃくちゃに斬り込む。 狭い室内で刀を振ることは初めてで、鴨居に刃を食い込ませてしまう。 酔っていたとはいえ、仮にも相手は局長。 その隙を見逃すはずもなく、刀を振りかざします。 ・・・・・土方さんがいなければ、私はきっと殺されていた。 刀を短く持ち直し、改めてかかっていこうとした時、彼を庇うように、女が飛び出してきました。 「どいてください。」 思わず口から出てきてしまった言葉。 彼女には、それで私が誰かわかってしまいました。 覆面の意味がありません。 「なぜ?おき・・・」 驚いた表情をし、私の名前を途中まで口にした彼女は、土方さんによって斬り捨てられました。 同じ覆面をした顔からのぞく目が、私に訴えます。 『ここで、正体を知られるわけにはいかねぇ』 ・・・・・あくまでも、彼らは外部の者の手によって殺されなければならない。
/283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

182人が本棚に入れています
本棚に追加