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2日後に壬生寺で行われた、盛大な葬儀。
弔辞を読み上げる近藤さんの話を、頭の片隅で聞き流しながら、私は茶番に付き合いました。
もしかしたら、微笑みすら浮かべていたかもしれません。
なんだか、おかしかったのです。
近藤さんだって、彼らが長州に殺されたなんて、真っ赤な嘘だってわかってるのに。
神妙な顔をして、涙を流し、「敵を討ちます。」なんて。
一体誰を討つんでしょうね?
彼らが死んだことを悲しんでいる人は、ここに集まった中に一人でもいるんでしょうか?
彼らの命を奪った張本人の私が、悲しむのは間違ってます。
けれども、悲しむというよりも、哀れでした。
自分自身が。
戻ることのできない道に、足を踏み入れたことを、後悔しても始まらないのですが。
このまま流されてしまう不安が、どこかに眠っていました。
雨に打たれて、熱っぽくなっていた身体を支えながら、ふわふわとそんなことを考えているうちに、葬儀は滞りなく終了しました。
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