追浜エレクトリカル

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モールに入り、通りがけに少しの惣菜を購入して夕飯のおかずを調達する。 ガラガラになったモール内は、それでも悲壮な雰囲気は感じられない。 むしろ、雨の降りしきる屋外の方が窮屈に感じるほどだ。 降りしきる雨は格子にも見え、さしずめ私は鳥小屋に閉じ込められた雛鳥のよう。 しかし、格子の中はこんなにも暖かく、外はあまりにも鬱屈としていて冷たい。 気持ちのよい空気とは、その空間が作り出すものではなく、そこに存在する人間が生み出すものなのだ。 私は小さく息を吐き、大きなビニール傘を天に掲げた。
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