第3話

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病院を出ると、近くのデパートをウィンドウショッピングして、昼食を食べた。 「何か食べたいものある?」 「うーん、アップルパイ」 「え、ご飯だけど」 車の中で、そんな会話をしていた。今はさすがに普通の食事をしないといけないので、別のものを食べた。 でも彼はそれを覚えていたのか、次の日の夜、ファーストフードのホットアップルパイを買ってきてくれた。 仕事帰りに寄ってくれるのは久しぶりだな。 そして23時頃、そろそろ帰らなくてはいけない時間だ。 「来週はさ、指輪見に行こう」 「え」 えー…そこはサプライズしてよ。 「一応結婚指輪だし、合わせたいじゃん」 「うん」 「結香ちゃんが一番気に入ったやつが良いし」 「うん…」 そうかもしれないけど、プロポーズと一緒にサプライズで指輪を貰うのって憧れるんだけど。 「なんか、怒ってる?」 「別に…」 「拗ねてる?」 「だって」 なんか不満。 「俺、サプライズとかできない人だから」 「あ、そうですか」 でもそこは頑張ってよ! 「ごめんてば」 「怒ってないもん」 不満なだけ。それを怒ってるというのかもしれないけど。 「もう…そろそろ帰れば?」 「うぅ…分かった…」 「じゃあね、お休み 」 私は雑に送り出すと、いつもしているのに見送りもせず、さっさと寝てしまった。 季節はそろそろ冬だ。寒さが厳しくなってくる。 赤ちゃんが寒くない様に、無駄に厚着してみるけど、羊水で守られてるから、そんなに寒くないのかな? そんなことを思いながら眠りに就いた。
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