第3話

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今年もあと1年。相変わらず無駄にお腹が空くけど、吐き気は収まって来てる。 それなのに、体より心の調子が悪い。 考えるのは楽しかったこと。赤ちゃんとの生活とか、プラスのこと。 でも油断すると、涙が出てくる。 デートで二人で水族館に行ったこと。 赤ちゃんの名前に『ゆ』を入れたいから、愛称は『ゆーちゃん』にしたこと。 産まれたら、修学までに色んな体験をさせてあげたい。 そんな楽しいことを考えているはずなのに…なんでこんなに涙が出てくるんだろう? マタニティーブルーってやつかな? 気が付くと、私は一人で涙を流していた。 こんなときに彼が傍にいてくれて、ただ泣かせてくれたら…。 ママになるんだから、もっとしっかりしないといけないのに、心配かけてばっかり…。 私が不安になってると、ゆーちゃんも不安だよね…? 私は何とか気持ちを切り替えようと、やることを探した。 「そうだ、体重」 私は最近、家でも体重を計っている。その方が、太り過ぎた時に早めに対処しやすいからだ。 「よいしょ」 私は涙を拭いて、Wii FITを出した。テレビを点けて、Wii本体を起動させる。 そしてお決まりの手順を践み、測定をすると…。 「え?」 昨日より1kgも減ってる!そんなはずないよね?ゆーちゃん大丈夫かな? 一気に不安が押し寄せた。激しい運動もしてないし、大きな衝撃があったわけじゃない。 ご飯前だからかな?いつも計るのは夕飯の後だし、そういう事にしよう。 私は言い様のない不安を拭えないまま、電源を落とし、テレビも消した。 座椅子に座ると、私は無意識にお腹を撫でた。 ゆーちゃん…。 泣き止んだのに、また涙が出てきた。 私はスッキリするまで、ひとしきり泣くことにした。 そして疲れるほど泣くと、やっと少し気持ちが落ち着いた。
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