2人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は、その言葉の意味が分からず
その場に立ちすくんでしまいました
どうして彼女は泣いているのか?
どうして彼女は僕の手を握って離さないのか?
そして、どうして彼女の手が…こんなにも温く感じるのか?
僕の頭の中は疑問でいっぱいになりました
今まで僕を押しつぶしていた、大きな塊が狂った様に音を立てて崩壊して行く様な…そんな感覚になりました
すると、そんな感覚を、さえぎる様に甲高い警戒音が僕の耳元に届いたのです
プーワーーーーン!!!
その瞬間
僕の米噛みの直ぐ横を、電車が通って行きました
電車に巻き込まれた、暖かな風が、僕の頬にパシリとあたりました
女性はグっと手を握り締め
離そうとしません
瞳からは、さっき見た以上に涙がボロボロと、こぼれ落ちていました
そして…女性は僕にしか聞こえない声で呟きました
『どうか……早まらないで下さい』
最初のコメントを投稿しよう!