(壹) 巡り会い

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「なんだあれ?」 乱入してきた集団に、ゆきみは訝しみつつ見る。 「多分ここらへんの盗賊だろう。しかし、あいつらの持ってる武器って……」 ゆん汰は集団に対してではなく、彼らの持っている武器に注目する。 ゆきみも遅れてその武器に注目して、目の色が変わる。 「この店にいる人間は全員有り金を出してもらうぜ。まぁ、死にたくなかったらなぁ?」 武器をこれみよがしに見せつける盗賊たち。この場に居合わせる一般人に、戦慄を憶えさせた。 しかし、対峙しているゆなは別だった。 ゆなは盗賊の親玉らしき肥満男の前に立ち、ふんぞり返るように見た。 「何かの冗談かしら?特にその身体といい、さっきの台詞といい。笑えたものじゃないわね」 そして、心の底から馬鹿にするように、罵倒してみせる。 安い挑発だが、目の前の肥満男には、忍耐や寛容さを持ち合わせていないらしく、逆撫でさせるにはちょうど良かった。 「……言ってくれるなぁ嬢ちゃん。死にてぇのか?」 脅すように、装甲に包まれた右手をゆなに近づける。 それでも、ゆなは毅然としていた。 「気安く死ぬとか口にしないでくれる?弱く見えるわよ。あとその腕は何なの?そういうファッションなの?馬っ鹿みたい」 「……わかった」 肩から伸びる二つの噴射口から、煙が噴き出す。 その際に、右腕に熱が帯び始めた。 「……?」 「じゃあ、死ね!」 男が、拳を放たんとした時に、ゆきみは行動を起こした。 いつの間にか手にしていた鎖鎌の分銅を、ゆなに目掛けて投擲する。 分銅はゆなの腕に絡まり、ゆきみはそのまま鎖を引っ張り出した。 「っ!?」 それに連動し、ゆなは引っ張り上げられ、男の拳をかわした。 引っ張られたことで、ゆなの足は地面から離れ、大きく宙に浮いた。 「よっ、と」 宙に浮いたゆなは、そのままゆきみにキャッチされる。しかし彼女の纏う鎧に結構重量があったため、体勢が崩れかけた。 「大丈夫か?」 「大丈……っていうか、なんであんな事したのよ!」 キャッチしたゆきみに対して、そんな無慈悲な一撃(パンチ)をお見舞いした。 「ひ、ひどいな……じゃあ、見てみろよ。お前の立ってたとこ」 促されるまま、ゆきみの指差す方向を見るゆな。 ゆなの立っていた位置から後ろの壁にかけて、焼き焦げた跡と、熱によって破壊された穴が空いていた。
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