(壹) 巡り会い

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「な、何よあれ……一体何が……」 「『豪炎機巧拳(バーニングナックル)』、ウチが製造している武器だ。しかし、これではっきりしたぜ」 男の持つ機巧の威力に呆然とするゆなをよそに、ゆきみは一歩前に出る。 「お前ら、『海洋商会』所有の輸送車を襲撃し、武器を強奪したのか?」 今まで若干飄々とした口調とはうってかわって、少し怒気が籠ったように感じた。 「……?あぁ、お前のその眼帯、『海洋商会』か?そういえば、そんなマークの輸送車を襲撃してたなぁ。それに乗ってた構成員を、この右腕で試して殺したのは爽快だったぜ」 ゆきみが、『海洋商会』の関係者だとわかり、襲撃したことを自慢げに話す男。 悔しい顔を見たいゆえの行動だと、ゆん汰は推測した。 「……そうか」 しかしゆきみは、男の望んだ反応とは程遠く、冷静だった。 「なるほど、それなら納得がいく」 「……納得?」 男の疑問を無視するように、ゆきみは続ける。 「数日前に、西方に武器を流通していた運搬役との連絡が途絶えていたんだ。その上帰還してこないから、原因を探るべく調査隊を派遣しようとした矢先、ゆん汰が京都に行く用事が出来て、京都に行くついでにその調査に来たんだが、 まさかそちらから来てくれるとは、思わなかったよ」 ハンカチサイズの布を片手に覆ってから、布を取る。 するとその手には、拳銃が握られている。 「武器を、回収させてもらうぞ、盗賊ども」 「……俺に刃向かう気か?こっちはこの装甲がある。まぁ俺を破ったところで、銃を持ち合わせた部下どもが待機してるぜ?勝てるもんなら、勝ってみろよ!」 ぶぉん!とマフラーから煙が噴く、またあの攻撃を繰り出すつもりらしい。 「…………」 「勝てねーよなぁ?そんな銃一つじゃあ、なぁ!」 火力をこめた打撃を、ゆきみに向けて放つ。 「っ!」 「ゆ、ゆきみ!」 打撃を受けたゆきみに、思わず名前を叫ぶゆな。しかし、ゆきみの身体は燃えなかった。 「……あ?」 「なんで燃えねぇんだ?って思ってるだろ?まぁ仕方ないだろうさ。そんなへっぽこパンチじゃあ、な」 男の拳を受けた腹部には、拳銃を取り出した際に使用した布がある。 あの布切れ一つで、打撃を押さえ込んだとは思えないが、熱波を防いだのはあの布であることは間違いなかった。
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