(壹) 巡り会い

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その原因は、とあるウィルス兵器による遺伝子変化であるが、 話が脱線してしまうので、詳しくは語らない。 とにかく、ゆきみは『能力者(スキルホルダー)』である。 スキルを得た経緯も、同じく脱線してしまうので省略。 「しかし奇跡を起こすスキルなんて聞いたことがないな」 「人形を操るスキルがあるなら、奇跡を起こすスキルぐらいあるだろうさ」 現にゆきみは、人形の姿をした武器の特注依頼をしたクライアントから、そのスキルを見ている。 そのクライアントに応えて、ゆきみは最高の武器を作った。 「そうは言っても、人を殺すスキルとか、世界を壊すスキルとか、運命を操るスキルとかあったら嫌だな。そんなのただのチートだチート」 この場では冗談で済ませているが、それらのスキルを『能力生産者(スキルマスター)』は所有しているので、あながち冗談にはならないだろう。 「どうであれ、その『かんなぎ様』に会ってみたらわかることだよ。それに『肆神教』がどんなものかも、この目で見た方がいい」 「それはお前に任せる。俺は『かんなぎ様』を殺す」 物騒に、殺すという言葉を放つゆん汰。 しかしゆきみは、はいはい。と投げやりに返した。職業柄、聞き慣れているのだろう。 「……?」 ふと、ゆん汰は何かを見つけた。 森の中、原っぱがある所で、女性がうつぶせで倒れていたのだ。 纏っているのは西洋騎士が纏うような甲冑鎧。 ロングのマロンブラウンの髪をした女性である。 「ゆきみ、女が倒れているぞ」 「マジか」 ゆきみも、倒れている女性を見つける 「森に迷って餓死したんだろうな。可哀想に、一応供養しておこう」 「勝手に殺すな」 女性の状態を確認するように、ゆきみが近寄った途端、 「……うぅ」 女性が、小さくうめき声をあげた。どうやらまだ生きているようだ。 「おい、大丈夫か?」 なんとか起こそうと、女性の背中をゆする。すると、 女性の腹から、ぐー、と情けない音がした。 「……どうやら、空腹で倒れていたみたいだな」 呆れるように言うゆん汰。 「一応、パンを持ってるんだけど、これで腹の足しになるかな?」 「とにかく食べ物ならなんでも良い」 そうか。とゆきみは了承を得て、右手を裏返し、その上から左手を添える。
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