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「なんじゃこりゃあ」
田舎の電車は本数が少なく、十時を少し回った頃に終電がやって来る。
ひとえに利用者が少ないからなのだけれど――――・・・。
真夜中のド田舎の駅、たった一人で電車を待っていた私は、開口一番そうつぶやいた。
やってきた電車は、明らかに私の知っている電車とは構造が違っていた。
ドアには安っぽい飾り花・・・、誕生会なんかで飾るちり紙で作った花やら、折り紙を繋いだ鎖なんかが飾られている。
窓という窓には電飾が飾られ、クリスマスツリーのようにぺかぺか光っている。
ぷしゅう、と気の抜けた音と共に開いた自動ドアから、ピエロの格好をした乗務駅員が現れた。
「ハッピー・バース・デイ!!!!」
はたしてこれはドッキリなのだろうか。確かに本日は私の誕生日だった。忘れていたが。
してみるとこのピエロは、私の知り合いの誰かなのかもしれなかった。
「あ、そういうのいいです」
空気を読まずに発言する。というかこんな電車に乗る勇気はなかった。
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