0.5 僕はエネ

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『エネ』は、齢十歳で娼年になった。 その経緯は、金遣いが荒い両親に売り飛ばされ、男娼館で雇われた。というものだ。 最初は激しく抵抗したが、所詮は子供の腕力で大の大人を振り切るのは不可能に近く、 エネはその幼い身体を好き放題に蹂躙された。 激痛やら快感やらで身体はボロボロになった。 そこでエネは心をズタボロにされた。身体を弄ばれただけでなく、相手していた大人から、耳を塞ぎたいくらい罵倒に近いことを散々言われた。 純粋だったエネは、それがとても鋭く辛かった。 そして負った心の傷は、回復が難しいほどに深く傷ついたのだ。 最早、自分以外の人間に、全く心を開くことは出来ず、代わりに、鍍金で塗り固めたような上っ面の感情で付き合うことしかできなくなった。 そうなった理由は、エネがよく知っていた。知っていたから、ますますその心を塞ぐような感情を抱いてしまう。 エネは『世界破滅事件』の惨状のように、 人間を、世界を絶望していた。
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