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良介は愕然としていた。
ここまで来ればなんとかなると期待していただけに、今目の前に広がる光景を素直に納得するには時間を要した…
なんてこった…
画板の上に画用紙を広げた小学生の群れが公園の思い思いの場所を占めて絵筆を走らせていた…
平日の昼前だから閑散とした公園を勝手に予想していたのだが、まさか小学生の写生会にぶち当たるとは。
…どうしよう…
時計は11時になろうとしている。昼前には高速道路に乗っておきたい。それに、何より初子が心配だ…
公園内の公道を徐行しながらどこかに人目につかない停車場所はないかと目を皿にする…
しかしこれはという場所の付近にも既に子どもたちが居て絵を描いている。
物見高いやんちゃ坊主どもの目に触れて騒ぎになどなれば取り返しがつかない。
…落ち着いてよく考えろ。
良介は自分に言い聞かせながら善福寺川沿いの道を遡る。
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