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「姫乃可愛いのに勿体無いよ。
ネガティブ過ぎる!」
莉子ちゃんはそう言ってくれたけど、私はそうは思わない。
「可愛くなんかないよ…。」
つぶやいた声は届かなかった。
二人はどうしたら私に彼氏が出来るか作戦を立てる気らしい。
「そうだ!
彼氏に声かけて合コン組んであげよっか?」
「あっ、ずるーい。
あゆみが合コンしてって言っても全然乗ってくれなかったくせにぃー!」
「あんたは逆ナン出来る度胸あるんだから合コンなんか必要ないでしょ?」
言い合いになり始めた二人を止めるものの、ヒートアップするばかりで収まりはしなかった。
思えば昔から私は恋愛というものに縁が無かった。
みんなにとって大嫌いな勉強が私にとって唯一の特技で、でも誰もそんな風には見てくれなかった。
「頭がいいから」「勉強出来るから」と、男の子は愚か女の子でさえ距離を置かれてしまう。
そのうちそれが「ガリ勉」に変わり、気持ち悪いと罵られるようになった。
テスト中は消しゴムのカスが飛んできたり、必死で取ったノートもぐしゃぐしゃにされていたり。
その殆どが男の子だったから、私の中で男子=怖いという方程式が出来上がってしまっている。
だから、中学時代に喋った異性なんて教師を除けば片手も要らないくらいしかいないんだ。
それに比べてこの二人は、勉強と恋愛を上手に両立させている。
進学校にいるぐらいなのだからどちらも頭がいいし、それにモテる。
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