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私に男の子の知り合いなんている筈はないから、きっと二人のどちらかのお友達なんだと思った。
けど…。
莉子ちゃんが先に「誰?」と聞いても、あゆちゃんは知らないとばかりに首をかくんと傾ける。
そうしているうちにも男の子達は近づいてきていて、気づけばテーブルのすぐ脇に立っていた。
ちらりと横目で見ると紺色のブレザー。
男の子って集団だと尚更怖く感じてしまう。
私のいけない癖だと分かっていながら、どうしてもそれが固定観念になってしまっている。
「ねえ。」
二人は視線を真っ直ぐにそちらに向けているけれど、私はその二人を見つめるしか方法が無かった。
少しの間沈黙があったから、不思議に思った私も横目で捉えると丁度集団の中から1人躓きながら出てくるところだった。
後ろから仲間の子に押されたみたい。
「あーのさ、そこの…ストレートの子ちょっといいかな?」
押し出された子がそう言うと、莉子ちゃんあゆちゃんの顔が同時に私に向いた。
からかうような目でニヤニヤしながら見てくる二人と、片手で耳の上を掻きながらじっと見てくる男の子。
最初はストレートって何のことかさっぱりだった私も、くるくると視線をさ迷わせてはっと気がついた。
「えっ?わ…わたし!?」
勘違いも甚だしいと思ったけれど、この中でストレートヘアは私しかいない。
思わず怖いなんてことを忘れて男の子を凝視していると、耳を掻く手とは反対の手で握っていた携帯電話を私の顔の前まで突き出した。
「急にごめん。
もし良かったら…なんだけど、アドレス、教えてくれない?」
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