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「じゃアドレスは聞かない…今は。
代わりに名前教えてくれる?
学校は華之森だよね?」
少し照れ臭そうに頬を掻きながらそう言われた。
名前くらいなら、いいかな…?
「あ、えと…はい。
はっ華之森高校二年のもも望月姫乃です。」
どもりながら、噛み噛みになりながらなんとか言い終わると塚本さん?は、ふわりと微笑んだ。
私はこの時、初めて彼の顔をまっすぐに見たと思う。
「姫乃ちゃん、ね。
俺…俺たち大体いつもここにいるから、もし出会ったらまた話そう?」
「わっ…私でよければ!」
そう答えると、満足そうに笑いながら手を振って出口へ向かって行った。
塚本さん達が去っていったのを確認すると、さっきまでは十分に息を吐けていなかったらしく勢いよく唇から空気が漏れだした。
回りのガヤガヤした雑音も、急に耳につき始めた。いつのまにか消えていたようで、一気に私の五感に働きかけてくる。
「き…緊張したあ…。」
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