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そう言って悔しそうに顔をしかめながら、塚本さん達のテーブルに視線を流す。
私も釣られてそちらに目をやると、楽しそうにはしゃぐあゆちゃんが映った。
二回目に話したとき、あゆちゃんがシュン君のことを好きだと知ったらしく、三回目には塚本さん達のメンバーにシュン君が加わっていた。
「姫乃さ…さっきのああいうの、女の子として嬉しいと想うけどさ、気を付けなよ?」
「えっ?」
「会話に慣れさせたところで女の子のツボを押さえたボディータッチ。
あゆみを手懐けてるあたり侮れない。
気に障ったらごめんね。
もしも、姫乃が遊ばれたりしたらあたし嫌だから…。」
眉尻を下げてそう言った彼女は、相変わらず可愛い。
心配してくれてるのがひしひしと伝わってくる。
「えへへっ、莉子ちゃんありがと!
確かに私女の子扱いみたいなの慣れてないし、ビックリしてドキドキしたりしちゃうけど、大丈夫だよ!
塚本さんみたいな人が本当に私に興味があるなんて思わないしね。」
思い出すとまたドキドキする。
だって男の人に頭を撫でられるなんて初めての体験だったから。
私には父親がいないから、本当に初めてだった。
男の人ってあんなに手が大きいんだ…。
「姫乃は自分で思ってるよりすごく魅力的な女の子よ。だから、あんまり悲観的にならないの!」
塚本さんが撫でたのと同じところを、よしよしと撫でながら励ましてくれた。
中学の頃友達のいなかった私に、こんなに優しい友達ができるなんて思わなかった。
そんなことを考えながらこの日は家路についた。
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