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「あっ!シュン君だぁ~。
あゆみ行ってくるねっ!」
シュン君の姿が見えた途端、走っていってしまった。たったそれだけなのになんだか羨ましく思う。
私達は注文した後テーブルに座って出来上がるのを待った。
莉子ちゃんてば新商品のハンバーガーとポテトのLサイズを二つも頼んでいる。
「お腹一杯になっちゃうよ?」
「いいの。ポテトは別腹なの。」
子供みたいな言い訳に、思わず吹き出してしまった。
莉子ちゃんと笑いながらドリンクを飲んでいると、隣に気配を感じた。
「姫乃ちゃん久しぶり。
中間テスト終わったんでしょ?どうだった?」
久しぶりに会った塚本さんは髪を切ったようで、長かった襟足がスッキリとしている。
金髪に近かった色も、濃い栗色にトーンを落としていた。
前回の一件のせいで塚本さんの顔をまともに見ることは難しそうだ。
「つ、塚本さんお久しぶりです。
中間テストはいつも通り…でした!
それより髪型変えたんですね。」
目も合わせずに言っちゃった。
すごく失礼だ私…
自己嫌悪に陥りながらも、受け答えだけはきちんとしようと頑張った。
「うん。なかなか似合うっしょ!
姫乃ちゃん金髪とかよりこういうのの方が好きかなと思って。」
「へっ?私ですか?」
キョトンとして訪ねると、短くなった髪の毛先を弄りながらにっと笑う。
「そ、好き?こういうの。」
聞かれたことの意味がよく分からず口ごもる。
ええっと、似合うか似合わないかっていうことかな?そうだよね?
「あ、はい。
前の髪型より短い方が似合ってます!」
この間までは一言で言うと…軽そう?っていうのかな?
いろんな方向に跳ねさせた金髪であまりいい印象を受けなかった。
ピアスもいっぱいだったし、首元も手首もアクセサリーがじゃらじゃらしていた。
でも今はそれが無くなってお洒落ですごく爽やかそう。
びっくりしたけれどすごく似合っていると思うし、うん…かっこいいと思う。
「っぶ!!」
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