01 日常の変化

20/22
前へ
/255ページ
次へ
向かいの席に座る莉子ちゃんが急に吹き出すと、塚本さんはむっとした表情に変わりそちらを睨む。 当の本人はお構いなしにそのままケラケラと笑っているけれど…。 「あーっ、お腹痛い! 笑いすぎて腹筋が割れるー。」 「うるせーな、またお前かよ。 ってか何笑ってんだよ。」 塚本さんの口調が…なんか違うっ! こ、怖くなってるー! 笑い転げていた莉子ちゃんは一息つくと、うっすらと溜まった涙を指で拭った。 「今まではそれで通用してきたんですね。どっかの少女漫画から出てきたんですか? っぷふ。駄目だ、超ウケるーっ!」 「可愛くないね君。 お世辞の一つも言えないとモテないよ?」 「生憎ですけど大好きな彼がいますのでお気遣いなく~。」 わぁ、また始まっちゃった。 しかも前よりヒートアップしてる! 私はどうして莉子ちゃんが笑っているか分からないし、塚本さんが怒っている意味も分からないでいた。 要するに、いまの状況が全く飲み込めない。 「へぇー。それはそれは。 可愛い女に浮気されないように気を付けてね。」 「可愛くないのはあなたの前だけなのでご心配には及びませんから。」 どんどん白熱してくる二人の声は次第に大きくなり始め、店内の注目を集めだした。 止めた方がいいよね。 私のせい?で始まっちゃったみたいだし…。 「あ、あの!二人とも!! 止めてください。他の方の迷惑になりますからっ!」 二人とも注目の的になっていたことに気がついたのか、口喧嘩を止め一時休戦となった。  
/255ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加