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向かいの席に座る莉子ちゃんが急に吹き出すと、塚本さんはむっとした表情に変わりそちらを睨む。
当の本人はお構いなしにそのままケラケラと笑っているけれど…。
「あーっ、お腹痛い!
笑いすぎて腹筋が割れるー。」
「うるせーな、またお前かよ。
ってか何笑ってんだよ。」
塚本さんの口調が…なんか違うっ!
こ、怖くなってるー!
笑い転げていた莉子ちゃんは一息つくと、うっすらと溜まった涙を指で拭った。
「今まではそれで通用してきたんですね。どっかの少女漫画から出てきたんですか?
っぷふ。駄目だ、超ウケるーっ!」
「可愛くないね君。
お世辞の一つも言えないとモテないよ?」
「生憎ですけど大好きな彼がいますのでお気遣いなく~。」
わぁ、また始まっちゃった。
しかも前よりヒートアップしてる!
私はどうして莉子ちゃんが笑っているか分からないし、塚本さんが怒っている意味も分からないでいた。
要するに、いまの状況が全く飲み込めない。
「へぇー。それはそれは。
可愛い女に浮気されないように気を付けてね。」
「可愛くないのはあなたの前だけなのでご心配には及びませんから。」
どんどん白熱してくる二人の声は次第に大きくなり始め、店内の注目を集めだした。
止めた方がいいよね。
私のせい?で始まっちゃったみたいだし…。
「あ、あの!二人とも!!
止めてください。他の方の迷惑になりますからっ!」
二人とも注目の的になっていたことに気がついたのか、口喧嘩を止め一時休戦となった。
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