38人が本棚に入れています
本棚に追加
__________
「はい?今なんて言った?」
ファーストフード店の中に莉子ちゃんの声が響きわたり、店内の人達からかなり注目を集めてしまっている。
この辺りにはいろいろな高校が密集しているため、今の時間は学生でごった返していてすごく恥ずかしい。
「だからね、恋しちゃったの♪」
そんな視線も無視して話を進めるあゆちゃんが、携帯を握ったままえへへ、と笑った。
「あゆみこの間サッカー部の中田先輩が好きとか言ってなかった?」
ため息を吐く莉子ちゃんを置いて私はすかさず会話に交じる。
「どんな人?高校生?」
そう聞くと、頬を赤く染めて頷いた。
「うんっ、高校生!
電車でねー、一目惚れしたのーっ♪」
「電車?じゃあ名前も知らない奴なわけ?」
怪訝そうな表情を浮かべて睨んでいる莉子ちゃんは、さながら刑事のような眼光だ。
「ううん。もう運命だと思って話しかけちゃったの!
だから名前もメアドもゲット済みだよ!」
あゆちゃんのこの言葉に私はびっくりして声も出なかった。
恋愛偏差値が底辺を継続している私からしたら、到底できない。
最初のコメントを投稿しよう!