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米粒ほどにしかボールが見えないスタンドのファンは大きく湧いた。
どおっ、と爆発音のように跳ね上がった大歓声が
決して覆ることのない三振と、試合終了を私に自覚させた。
バッターが暑さにひしゃげた氷柱のように崩れ落ち
ピッチャーは対象的に両拳をいっぱいに振り上げて、花火のように跳ね上がって歓喜の声を上げる。
あちらで泣き声が無数に聞こえ、
こちらからはどおっと人が溢れ出してマウンドで塊になった。
湧いた。湧きに湧いた。
耳が破れるほどの大歓声と、必死に勝負の結果を伝えようとするアナウンスと、
それから栄光を掴み取った白銀のユニフォームの戦士達の言葉にならない叫びが、
土ぼこりのオーケストラとなって空に舞い上がる。
勝った、負けた、いい勝負だった。
それぞれの感情が多種多様な楽器となって演奏を続ける中にあって。
私は、振り上げた拳の落とす場所を失って
その場に立ち尽くしたままだった。
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