アイとキズナ。

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……―― 幼い頃の俺は今とは性格が違った。 今のアイのような感じだった。 今の俺が昔のアイで昔のアイが今の俺みたいな……。 何所で二人の性格が入れ替わったのか見当がつかない。 ――…… 「うう……。 えぐ……」 あの日、小学2年生の俺は神社の石段で泣いていた。 「こんなとこにいたんだ。 探したんだよ~。 おじさんとおばさんも心配してるよ?」 泣きじゃくる俺を見つけアイが近づいてきた。 「アイちゃん……」 アイの顔を見て俺はますます涙を流した。 「どうしたのキズナ! またガキ大将にやれたの?」 俺の顔を見るなりアイはびっくりして取り乱す。 「僕の『キズナ』って名前、変だ変だって言って石投げられて……」 俺は痛む額をさする。 「血が出てるじゃない! もうあたしがコテンパンにしてあげる!」 握り拳を作りアイは怒る。 「いいよ、アイちゃん。 そんな事したらアイちゃんが悪者になっちゃう」 怒るアイの服の裾をグッとひっぱり俺はアイを止める。
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