アイとキズナ。

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*** ――引っ越し当日―― 学校で盛大にお別れ会をしてもらって俺はしんみりとした気持ちになっていた。 「キズナ様、そろそろ出発しますよ?」 執事が名残惜しむ俺に声をかける。 「あぁ。 行こう」 後ろ髪を引かれる思いで俺は空っぽになった自分の部屋に別れを告げた。 「キズナ!」 出発前の俺を見つけアイがやってきた。 「アイ……」 アイの顔を見て一気に寂しさが押し寄せてくる。 「もう。 そんな辛気臭い顔しないの。 一生会えなくなるわけじゃないでしょ?」 ニッコリとアイは微笑みながら俺に何かを握らせた。 「ん?」 俺はそっと手を見る。 「それ、四つ葉のクローバー。 この前神社で見つけて押し花にしたの」 アイは自慢げに言う。 「この前って……。 アイが一日いなくなってた日か!」 アイの言葉に俺はハッとした。 「アイ、これ作る為に……」 アイの心意気に俺は胸が一杯になる。
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