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「……ナくぅ~ん。
……ズナくぅ~ん。
キズナくぅ~ん」
俺は鳥肌が立つくらい気持ち悪い声で目が覚めた。
どうやらいつの間にか眠っていたようだ。
さっきのは夢……か。
過去の事を夢見るなんて俺、どうしたんだろう。
「…………」
寝ぼけ眼(まなこ)で俺は声の主を見る。
「キャ。
そんなに見つめちゃいや~ん」
俺の視線の先には泰蔵がいた。
大きな図体をクネクネさせてる。
「えと……。
起こしてくれたのはありがたいんだが、フツーにおこしてくれないか?」
冷静に俺は言う。
「フツーもフツー。
大フツーだけど?」
平然と泰蔵は答える。
大フツーってなんだよ。
「折角の夢が台無しじゃないか」
さっきの夢の余韻が思いっきりかき消されたような気がした。
「夢?
夢ってこれと何か関係あるのか?」
泰蔵はいつの間にか俺の持ち物からあの四つ葉のクローバーの押し花の栞を持ち出してくれてやがった。
「ちょ!!
おまっ!!
何時の間にそれを!!
返せ、コノヤロー!!」
泰蔵から慌てて取り返そうとするも、泰蔵はそれをヒラリと交わしてくれやがった。
「おっと。
それは問屋が許しませんよ」
そう言って泰蔵はにやけてる。
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