アイとキズナ。

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「貴方が知りたい答え、教えてあげるわ」 一人大騒ぎしている泰蔵の背後にアイが現れた。 「おや? 三宅君。 君は何か知ってるのかね?」 アイの言葉で泰蔵の目の輝きは一層増した。 「知ってるわよ。 とてもよくね」 アイは俺の方をちらりと見た。 またもや、クラスメート達がアイに注目してる。 「……いいよ。 無理しなくても」 アイに気遣うように俺は言う。 「貴方だっていつまでもモヤモヤしたくないでしょ? これはあたしのケジメ。 何時までも黙っておく事はないわ」 そう言ってアイは栞をそっと持った。 「三宅がそう言うなら構わないよ」 アイにはアイの考えがあるのだろう。 俺は静かにアイの言葉を待つ事にした。 「この栞は幼い頃あたしが蔵元君……キズナにあげたものよ」 そっと俺に栞を返しながらアイは言う。 アイの発言にクラスメート達はどよめく。 このガッコに来てみんなの前で初めて『キズナ』と読んでくれた。 「俺とアイはお幼馴染なんだ。 家が隣同士でよく一緒に遊んでいた。 俺が中学に入る頃、引っ越して離れ離れのなった。 その時、これをアイがくれたんだよ」 心のつっかえが取れたように俺は話す。 俺もアイの事をみんなの前で『アイ』と呼ぶ。 その事に関してアイは何も抵抗はないようだ。
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