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「そっか、そう言う事だったのか。
通りで三宅とキズナ、仲いいな~と思ってたんだよ」
腕組みをして泰蔵は頷く。
「仲良く見えてたの?」
俺が思ってた事をアイが聞き返してくれた。
「見てればわかるよ。
三宅はキズナとよく話してるし、キズナと話す時は生き生きしてるもん」
泰蔵は俺とアイを交互に見る。
「そうそう。
蔵元といる時、三宅楽しそうにしてたもんな」
「あたし達といるときとは全然違う感じだったしね」
クラスメート達も口々に言う。
みんな何気に見てたんだな。
「バカみたい」
ボソリとアイは呟く。
「アイ?」
アイの言葉に俺は耳を傾ける。
「バカみたいって言ったの。
みんな薄々気づいてたならあたし達の関係黙っておく必要なかったわよね」
溜息混じりにアイは言う。
「俺はアイが転入してきた時から隠すつもりはなかったぞ?
何かアイから妙な威圧を感じてたから黙ってたけどな」
そもそも『黙ってて』何て言われてなかったから隠さなくてもよかったんだよな。
「怖かったの……」
アイは俯く。
その声は少し震えている。
「どういう事だ?」
俯くアイを俺は覗き込む。
「また……。
キズナを失うのが怖かった……」
潤んだ大きな瞳でアイは俺を見た。
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