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「俺を失う?
俺は消えたりしないぞ?」
アイの言っている意味がわからない。
俺はアイの傍から消えたりしない。
だって俺は……。
「キズナはあたしの支えだった。
キズナがいてくれたお陰で、守る誰かがいたお陰であたしは強くなれた。
人を大切に思う気持ちを培えた」
握り拳を作ってアイは言う。
昔のアイ。
俺のヒーロー。
「小さい頃はアイの後ろにいつも隠れてたな。
俺もアイが守ってくれるって思ってて凄くアイに頼ってたっけな」
アイの後ろにいると何か安心できた。
でも気付いたらアイより大きくなっていて、後ろに隠れられなくなっていた。
「そうなのか?
今のキズナはアホみたいに逞しいがな」
俺の程良く立派な胸板を触りながら泰蔵は言う。
ボディタッチですか……。
「アホは余計だ」
ポカッと俺は軽く泰蔵の頭を小突く。
「泰蔵~。
話の腰折るなよ~」
「いい話なんだぞ!」
泰蔵の茶々にクラスメート力ブーイングが起こる。
別にお前らに話してるんじゃないんだけどな。
まぁ、いっか。
「すみません。
続きをどうぞ」
ササッと泰蔵はわざとらしく手を横に出した。
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