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「全くアイが話しにくくなるだろうが!」
泰蔵とクラスメート達に俺は注意する。
そしてチラリとアイの様子を伺う。
「それと同時にキズナが……。
大切な人が傍にいなくなったときの悲しみも知った」
話の腰を折られた事は気にしてないようだ。
よかった。
今、俺の事『大切な人』って言ったよな。
そんな事言われると、俺期待しちゃうぞ?
「ごめんな、いきなり引っ越してしまったから……」
いきなりの引っ越し。
俺自身も戸惑って泣き叫んでテンパって……。
今思うと凄く大袈裟だったような気がする。
「キズナは悪くないわ。
仕方ない事だもの。
悲しみを知ってあたしは笑うのを辞めた。
笑っていてもキズナは傍にいないって知ってたから」
アイの憂鬱そう悲しそうな表情の理由はそれだったのか……。
「アイ……」
アイの言葉に胸が押しつぶされそうになる。
昔の俺はそうだった。
上手く周りに溶け込めず上手く笑えず……。
だから何か頑張って一番になろうと思って勉強もスポーツも頑張った。
でも頑張れば頑張るほど空回りで……。
そんな俺を支えてくれてるのがアイだった。
アイといたら自然に笑えた。
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