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「そしてあたしは決めたの。
『キズナの元に行こう』って。
例え嫌われても煙たがられても、自分の中で何か変われるものが見出せると思ったから」
真っ直ぐに俺を見るアイの瞳は昔のすんだ瞳と何一つ変わらないように思えた。
「そっか。
だからわざわざ遠くからこのガッコに来たのか」
アイが何故一人暮らしをしながらわざわざこんな遠いガッコに来たのかやっと理由がわかった。
俺を追いかけてきてくれるなんて……。
切なすぎる……。
「でも結局は、キズナに肩身の狭い思いをさせてしまった」
アイは再び下を向いた。
俺と目を合わせないようにしているようにさえ思えた。
「そんな事無い!
俺、アイに再会できて嬉しかったんだよ!」
俺はアイの肩を掴んだ。
「自己嫌悪。
毎日毎日、自己嫌悪。
突如押しかけて、キズナを困らせてクラスにも溶け込めなくて上手く笑えないし喋れないし……」
俺の手をそっと退かしながらアイは言う。
俺に手に触れたアイの手は少し汗ばんでいる。
「アイ……。
お前、そんな風に思ってたのか。
俺に相談してくれればよかったのに……」
アイの手をそのままぎゅっと握る。
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