アイとキズナ。

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*** 「アイ! 待て! 待てってば! はぁはぁ……」 俺は走って行くアイを追いかける。 そして激しく息切れ。 アイは中学の頃、長距離ランナーだった。 しかも、県大会で優勝するくらいの実力保持者。 スポーツ万能の俺でも追いつけない。 追いかけるのが精一杯である。 ピタリ 俺の呼びかけにアイが止まる。 「おふっ! イキナリ止まるなよ」 勢い余って俺はアイの背中に激突する。 「アンタ、ワガママね」 背中越しにアイは言う。 「あ・の・な。 ったく、相変わらず足速いなぁ~……」 アイにぶつかった拍子に鼻が痛かった俺は摩っている。 「あたしね、中学の頃県大会で一位になったのよ」 相変わらずアイは背中で語る。 心なしか震えてるような気がする。 「知ってる。 アイ頑張ってたもんな」 アイの前に周り込んでアイの顔を覗き込む。 「知ってたの?」 俺の言葉に反応し、アイは顔を上げた。 「当たり前だよ。 幼馴染の勇姿はちゃんと目に焼き付けてるさ」 テレビに映るアイを見てアイと一体になってるような感覚にさえなっていた。 やっぱり、アイは俺のヒーローなんだ。 「よかった……」 そう言ってアイは大きく息を吐いた。
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