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「あ?」
何が良かったのか意味がわからず、俺は首を傾げる。
「あたし、一番になればもしかしたらキズナがあたしに気づいてくれるかな何て微かな想いが合ったんだ」
グッとアイは握り拳を作る。
アイが俺の事を思ってくれていた。
俺、アイに期待しちゃってもいいのかな……。
「アイの走ってる姿、カッコよかったもんな」
風を切って走るアイ。
ホント、カッコよかった。
アイの美貌から『俊足の天使』ってマスコミも騒いでた。
「でもね……。
もうあたしは一番になれない。
タイムが伸びなくなった。スランプが続いてるの」
いつもの憂鬱そうな表情でアイは言う。
アイは……。
走れない自分を責めてたんだな。
だからランナーだった頃の自分を封印してる。
クラスメートの大半はアイの素性を知っている。
だけど、暗黙の了解でみんなその事には触れなかった。
「一番にならなくても俺はアイを想ってたよ」
アイに気持ちを伝えよう……。
俺の素直な気持ちを……。
「え?」
俺の言葉にアイは驚いた表情を見せる。
「俺……。
アイが忘れれなかった」
何時も俺に微笑みかけてくれるアイ。
名前の通り、愛に溢れた素敵な女性だ。
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