アイとキズナ。

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「女の子に手当たり次第告白してたのに?」 俺をジッと見てアイは言う。 そういうとこも見てたんだな……。 「それは……。 アイへの想いを断とうと思って……。 でも俺のそんな気持ちは女の子達には見透かされてたんだろうな。 百発百中、フラれてたから」 誰かと付き合えばアイの事は吹っ切れる。 そう思ってた。 その安易な考えが自身を傷つけていた事も俺は知っていた。 「知ってるわよ」 知ってる? アイは俺の気持ちに気づいてたってことか? 「女々しいと思ってくれても構わない。 俺はアイが忘れられなかった。 アイと離れたくない。 寂しいんだよ……。 辛いんだよ……。 だから、ガッコ辞めるとか言うなよ! 俺の傍から去ろうとするなよ!」 俺はアイにしがみつく。 我ながら情けない姿だと思う。 だけど……。 今しっかりアイを掴んでないと、アイが去りそうな気がするんだ。 「泣き虫」 俺の腕を掴みアイは言う。 「な、泣いてるんじゃない。 目にゴミが入ったんだ」 いつの間にか流れ落ちてきてた涙を俺は慌ててゴシゴシと拭って誤魔化した。 まぁ、誤魔化せてないだろうけどね。
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