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「そういう事にしといてあげる」
アイは優しい。
俺の恥ずかしい面もこうやってオブラートに包んでくれるんだ。
「カッコつけさせろよ」
思わず俺の口からこの言葉が出た。
「は?」
突如妙な事を言う俺にアイは疑問符を投げかけた。
「好きな子の前で位、カッコつけさせてくれよ。
守られてた分、守りたいって思わせてくれよ」
俺はアイの前でカッコつけたかった。
だからいつの間にかアイの事を『アイちゃん』じゃなく『アイ』って呼ぶようになってたし、自身の呼び方も『僕』から『俺』になってた。
カッコつけるだけじゃない。
そしていつの間にかアイを守りたいって思うようになってたんだ。
「キズナは変わらないね」
大きな瞳でアイは俺をしっかりと見ている。
「へ?」
変わらない……か。
アイの中では『泣き虫キズナ』のまんまなんだろうか。
「泣き虫なクセに一直線で大事な時は直球でくるんだもの」
アイ……。
俺よりアイの方が俺の性格を熟知してるのかもしれない。
「ホメてるのか?」
アイの発言から素直に褒められてるって思えない自分が情けない。
「そのつもりよ」
平然とした顔でアイは答える。
そう……なのか。
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